商流とは?大手物流会社の商流革新や物流総合効率化法の改正まで解説

デジタル技術の進化にともない、デジタル情報が管理しやすくなってきました。このような時代の背景を受けて、商取引活動の商流と物流の分離が進んでいます。

商流と物流の分離として分かりやすいのは、3PLサービスです。日立物流の投資家向けの報告書によると、国内3PL市場規模は年率2%~3%で伸びており、2018年度には4.6兆円に到達しました。

また、3PLサービスだけではなく、商流のデータ管理に役立つテクノロジーを導入する企業も増えてきており、内閣府では、商流と物流を分離した「スマート物流」の実現を目標に定めています

今後の物流業界で生き残るためにも、商流について理解を深めておきましょう。本稿では、商流について分かりやすく解説します。

商流とは

3PLサービスを利用して、商流と物流の分離を図る企業が増えていますが、そもそも「商流」とは何なのでしょうか?まずは、ビジネスで欠かせない商流について解説します。

そもそも「商流」とは

商流とは、商取引活動を指します。一般的に、生産者から消費者に流通する所有権・金銭・情報を指します。物流とは異なり、商流は取引上の流れを指しますが、2つは密接な関係にあります。例として、出荷作業の流れを下記に示しましたが、商流と物流は密接な関係であることが分かるでしょう。

[出荷作業の例]

  1. 荷主から受注データを受け取る:商流
  2. 受注データを参照して検品・梱包する:物流
  3. 梱包した商品を配送業者へ引き渡す:商流:物流
  4. 出荷完了データをお客様へ送信する:商流

商取引活動におけるネットワーク

商取引活動は「商流」「物流」「金流」の3つの区分で構成されています。商流と物流を分離する場合は、金流は商流の一部とみなすことが多いです。

商流

商取引活動における所有権の移転活動。生産者から消費者に流通する過程における、所有権の流れを指す。

物流

物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動。一般的には、包装・輸送・保管・荷役・流通加工及び、それらに関連する情報の諸機能を総合的に管理する活動。

金流

商取引活動における決済時の貨幣の流れを指す金流は、商流の一部とみなして考えられることもある。

商流を押さえる重要性

商流の理解は、商取引活動を行う上で欠かすことができません。ビジネス上の商取引の流れは、自社だけではなく取引先や関連会社にも大きな影響を与えます。データの受け渡し上でエラーが起きた場合などは、商流に関する理解度によって、対応スピードが変わります。

また、商流を理解しておけば、企業間コミュニケーションが円滑に進みます。そのため、ビジネスを成功させるためには商流を押さえることが重要になってくるのです。

商流と物流を分離する必要性

商取引活動におけるネットワークには「商流(金流)」「物流」があることを理解して頂けたと思います。近頃は、商流と物流を分離する企業が増えてきていますが、それはなぜなのでしょうか?ここでは、商流と物流を分離する必要性について解説します。

QCDの明確化

営業部門で商品管理や配送作業を行うと、営業活動の一環として物流業務が含まれてしまいます。営業業務と物流業務を切り離して考えなければ、物流の基本であるQCD【Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)】が妥当なのか判断できません。逆に、商流と物流を分離してQCDを明確化できれば、改善方法を見つけられ、経営の健全化が図れます。

業務効率化

物流業務には、単に配送業務だけではなく、在庫管理や検品、流通加工などのさまざまな業務があります。商流と物流を合わせて考えていく場合、ピッキングリストと伝票をセットにして検品作業を行わなければなりません。その結果、伝票に依存した検品作業になってしまいます。

近年商流と分流を分離した、伝票に依存しない検品作業が注目を集めています。例えば、倉庫ごとに商流データを管理できるWMS(倉庫管理システム)を活用すれば、トータルピッキングやマルチオーダーピッキングが行えます。このような検品作業に切り替えれば、大幅な業務効率化が狙えます。

アウトソーシング化

物流業務を一括して受託する3PLサービスを利用する企業が増えています。商流と物流の分離は、3PLサービスが想像しやすいでしょう。物流業務を3PLにアウトソーシング化すれば、コアビジネスに集中できます。また、3PLサービスを利用すれば、物流コストの固定費を変動費に切り替えることができ、物流コストの最適化も図れます。

商流革新で注目されるテクノロジー

商取引活動の商流(所有権・金銭・情報)を管理するためのテクノロジーが続々とリリースされています。商流系ソリューションを活用すれば、受注から決済までの情報を一元管理できて便利です。ここでは、近年、商流で注目されるテクノロジーをご紹介します。

WMS

WMS(倉庫管理システム)とは、Warehouse Management Systemの略語で、倉庫ごとの運用管理が行えるシステムです。商品管理の基本はSKU単位での管理ですが、引当済みの商品を除いた商品に所有権があることになります。これらの情報を倉庫ごとに管理できるため、商流が把握しやすくなります。

RPA

RPA(ソフトウェアロボット)とは、Robotic Process Automationの略語で、事務作業の自動化が行えます。メーカーから受け取った商品情報を基幹システムに転記する作業や、発注書のデータを自動入力する作業などでRPAを活用すると、大幅な業務効率化が図れます。

業務効率化が図れるだけではなく、各部門の業務シナリオを把握でき、共通シナリオを見つけることでも役立つことが多いです。そのため、商社の企業合併時のシステム統合などでRPAが導入されます。

AI

AI(人口知能)とは、Artificial Intelligenceの略語で、計算という概念とコンピュータという道具を用いた知能を指します。販売事業者は大量の取引情報を持っていますが、これらを商流のビッグデータとして活用する動きが広まってきています

商流ビッグデータを解析することで、AIによる与信審査に活かすことができるのです。AIによる与信審査は銀行業務にも大きな影響を及ぼすと言われており、大きな注目を集めています。

IoT

IoT(モノのインターネット)とは、Internet of Thingsの略語で、インターネット経由でセンサーと通信機能を持ったモノのことをいいます。物流業界ではトラックや船等の位置情報や積載情報等の情報収集システムの開発等が実施されており、倉庫では電子タグ(RFIDタグ)を貼付されるようになりました。

IoTを活用すれば、あらゆるモノのリアルタイムの情報を可視化することができます。

RFID

RFID(非接触システム)とはIoTの一種であり、Radio Frequency Identificationの略語で電子情報の読み取りや書き換えが行えるシステムです。商品や在庫にRFIDタグを取り付けることで、JANコードに加えてシリアル番号や製造年月日、消費期限などの情報を読み込むことができます。

バーコードとは異なり、遠距離からのデータ読み取りや一括読み取りが行えるため、業務効率化に貢献するテクノロジーとして注目を集めています。

大手物流会社で取り組まれる商流革新

これまで商流改革に関連するテクノロジーを紹介してきましたが、大手物流会社では、どのような商流改革が行われているのでしょうか?ここでは、大手物流会社の動向をご紹介します。

オープンロジ:フィジカルインターネットを推進

オープンロジが取り組むフィジカルインターネットとは、企業の枠を超えた物流資産のシェアリングのことをいいます。インターネットを活用して、荷物配送の最適なルートを導き出し、物流資産をシェアリングすることでムダのない効率的な配送業務を実現します。

物流業界の零細企業ではデジタル化が進まず生産性が低いケースが多いのですが、フィジカルインターネットを実現することで、零細企業の生産性も大幅アップが見込めると指摘。2020年10月に、フィジカルインターネットを推進するために17.5億円の資金調達を実施するなど、新たな商流・物流革命として大きな注目を集めています。

日本通運:RPA活用で作業時間100万時間削減

2020年2月に、日本通運は、RPAを活用して単純業務の作業時間を100万時間削減していくことを発表しました。2021年度までに合計500台のロボットを導入し、航空輸入業務ではAI-OCRを活用した業務効率化を推進していくことも発表。今後3年間で数百億円相当をロボットに投資すると専門誌記者会見で述べて大きな話題を集めました。

日本通運ではIT重点戦略として「DXの加速による顧客提供価値の向上」「デジタルオプテマイゼーションによる生産性向上・働き方改革の実現」「グループ全体最適を実現する基盤整備」の3つを策定しています。テクノロジーを活用した業務効率化を図りたい企業は、日本通運の動向に注目してみましょう。

佐川宅急便:内閣府のスマート物流の研究開発を受託

佐川宅急便は、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」における主要課題の1つであるスマート物流の「荷物データを自動収集できる自動荷下ろし技術」に関する研究開発を受託しました。

政府が提唱するスマート物流では、複数の事業者で商流・物流データの共有を目指しています。これらを実現するためには、荷物の所有権が切り替わり、情報の分断が発生する荷下ろし工程における荷物情報を自動取得する技術が必要不可欠です。この自動取得技術の開発を佐川宅急便が受託することが決まりました。どのようなテクノロジーを活用するのか、佐川宅急便に動向に注目してみましょう。

【速報】物流総合効率化法の改正が発表

商流と物流の分離を行い、それぞれを適切に管理するテクノロジーが続々と登場しています。また、政府もスマート物流を戦略的イノベーション創造プログラムの主要課題として取り上げているため、今後、物流会社でテクノロジーが導入されていくことは確実です。このような背景から、2020年11月に物流総合効率化法の改正も発表されました。

認定類型を3類型から11類型へ

国土交通省は基本方針改正を行い、認定類型を3類型から11類型に変更することを発表しました。

Before

After

輸送網の集約

輸送網の集約

モーダルシフト

モーダルシフト

輸配送の共同化

輸配送の共同化

 

物流の平準化

納品までのリードタイムの延長

納品時の作業の合理化

パレット等の活用による荷役効率化

幹線輸送の帰り荷の確保

中継輸送

庫内作業の効率化

バスなどによる貨客混載

with/afterコロナ時代の感染症対策でDX推進

物流業界も新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けています。with/afterコロナ時代の感染症対策としてDX化推進の取り組みを行うことが改正案として発表されました。

今後は、倉庫内作業の自動化、デジタル化機器の導入による作業合理化、動追従型搬送ロボットの活用、トラック予約受付システムの活用なども総合効率化計画の対象となります。

荷主と物流事業者の連携を促進

国土交通省は、事業者の創意工夫があり、要件を満たしている場合は総合効率化計画として認定してきました。しかし、取り組みの周知が不十分であることから、物流総合効率化法の改正を発表。

新たな11類型の発表は、荷主と物流事業者の連携を促進する狙いもあります。国土交通省の取り組みを周知させていき、事業者側の創意工夫、総合効率化計画としての認定件数を増やしていきます。

まとめ

今回は、スマート物流の鍵を握る商流について解説しました。3PLサービスを活用して、商流と物流を分離する企業が増えてきましたが、分離することで物流革命を起こすことができます。大手物流会社では、業務効率化に向けた新たな取り組みが開始されているため、商流革命や物流革命に興味がある方は、大手物流会社の動向に注目してみてください。

また、2020年11月には、国土交通省が物流総合効率化法の改正を発表しました。3類型から11類型に基本方針が変わったため、総合効率化計画として認定されやすくなりました。ぜひ、これを機会に、物流の見直しを図ってみてください。